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2010年5月17日 (月)

モバイルおよびWeb向けアプリのQAテストのコツ

 Webユーザーやモバイルユーザーが使うOSには変化が付き物だ。このことは、わたしのような品質保証(QA)マネジャーやアナリストにとっていつも問題になる。われわれは常に、泥縄にならないように先を見越してテストを行い、自社のWebアプリケーションやモバイルアプリケーションが、予定しているリリース日からターゲットOS上できちんと動作するようにしなければならない。

 企業のビジネスサービスやモバイルサービスは、ユーザーのWeb環境やモバイル環境にますます依存するようになってきている。一方、モバイル技術やコンピュータ技術が絶えず進化していることから、OSやWebブラウザ、アプリケーションインタフェースの継続的なアップグレードが不可避となっている。以下では、これらを総称して「クライアント」と呼ぶこととする。

 クライアントに依存する非常に複雑で動的なシステムを運用している企業のQAアナリストは、こうした変化するクライアント環境に対するテストを、それらの正式リリース前のβ段階で行えるように装備と準備を整えなければならない。わたしが見てきたところでは、経営幹部は、こうした変化の管理に必要な適切な措置を講じる準備をしていなかったり、講じることに消極的だったりする場合がほとんどだ。

 Webユーザーやモバイルユーザーが使うOSは、Mac OS XやLinux、Google Chrome OSなども含め多岐にわたり、いずれも同じようには動作しない。企業はさまざまなテスト環境を利用して、アップグレードされたデバイスや多様なブラウザベースインタフェース上で自社のアプリケーションが動作するようにしなければならない。アプリケーションテストは、32ビットおよび64ビットプロセッサ、メモリとその処理速度の性能、そしてストレージ機能について行わなければならない。

 ユーザー環境では、テスト仕様のさまざまな動的な組み合わせが発生することから、テスターは無数にも見える場合分けを考慮して、基準を満たさなければならない。このため、堅固な仮想環境や、複数パーティションまたはホットスワップ対応ドライブを持つサーバに投資することは、一部の企業にとって有効なソリューションかもしれない。

 手軽に使えるテスト環境があれば、QAアナリストやQAマネジャーが常に先を読み、テスト仕様の内容に基づいて将来の問題を予測し、あらかじめモックテストを行うのに役立つ。これにより、エンドユーザーが問題のあるハードウェアやソフトウェアに触れる危険が軽減される。重要なのは、必ずテストを徹底すること、つまり、使われる可能性のある環境を極力網羅してテストを行うことだ。

 顧客は、いつどのような環境を選んでも、システムが確実に動くという便利さと安心感を求めている。このため、QAテストに当たっては、行の項目がOS、列の項目がブラウザである環境要件マトリックスを作成するのが有効なことが多い。セルに「X」を記入したりセルを色分けしたりして、各テスト環境の影響の大小を示すとよい。

 また、OSの提供元のR&Dチームと密接に連携し、可能な場合は常に定期的に連絡を取ることも有意義だ。そうすることで、彼らのOS上で動作させようとしているアプリケーションのテストプロセスが容易になる。また、アップグレードされるOSの要件に対応させるためにアプリケーションに加える必要がある変更について、よく理解できる。これによって、変更に伴うリスクが軽減される。

 ユーザーの増加やクライアントの行動に関する統計データベースを持っている企業では、テスト前にその精査を行うことも有効だ。そうすれば、現行システムの効果を把握し、新システムと比較することが可能になる。機能だけでなく、性能とセキュリティをテストすることも重要だ。

 大抵の場合、変化に対応するための準備作業は実を結ぶだろう。やがて顧客は、あなたの会社のソフトウェアやサービスが、ビジネスに必要な適切な情報提供と正確な処理を行うと、期待してくれるようになる。あなたの会社のプロダクトがやりとりするOS、Webブラウザ、クライアントアプリケーションといった変化する環境に対するテストをもう少し包括的に行えば回避できるような問題のせいで、顧客を失ってはならない。

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