「6コア時代の“幕開けの幕開け”」――Core i7-980Xの単品発売はいつ?
先週、アキバのPCパーツショップで最も注目を集めていたのは、コンシューマー向けで初の6コアCPUとなるインテルの「Core i7-980X Extreme Edition」だった。
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3月17日から、同CPUを搭載するショップブランドPCが複数リリースされ、単品発売向けのリテールボックスの販売予約を受け付けるショップも現れている。ただし、初回の入荷数が少ないこともあり、リテール品の予約はすでに受付を終了。予価は10万円弱から11万円弱だった。
Core i7-980X Extreme Editionは、3.33GHzで動作する6個のコアを搭載した、Core i7シリーズの最上位モデルだ。L3キャッシュは合計12Mバイトで、ほかのCore i7の8Mバイトから1.5倍に増量。Turbo Boost TechnologyとHyper-Threading Technologyに対応しており、1コア動作時は最大3.6GHz動作まで自動で引き上げられ、12スレッドで併行処理できるのが特徴だ。TDPは従来の最上位モデル「Core i7-975 Extreme Edition」と同じ130ワット。対応ソケットはLGA1366となる。
以前も事前情報などで6コアCPUの存在は明らかとなっていたが、多くのショップにユーザーからの問い合わせが寄せられるようになったのは3月17日から。フェイス秋葉原本店は「いつ単体販売するのかという問い合わせはたくさん届いています。高価なモデルは前評判が微妙だと問い合わせは全然こないものですが、今回は多いですね。ただ、まだ出荷数が少なくて、組み込み用でしか販売できない状況です。単品発売は早くて4月上旬というウワサも聞きますが、それまでの流通量によるでしょう。初回は確実に売れると思えるぶんだけ、もどかしいですね」と語る。
CPUの性能自体の評価はまちまちだった。別のショップは「普通にゲームやネットをするだけなら、体感速度はCore i7-975と変わらないみたいですよ。エンコードみたいなマルチコアが必要な操作をメインにする人向けでしょう。しかも、6コアや12スレッドの処理に対応したソフトはこれから増えていくという感じなので、フル性能が堪能できる環境は限られています。まあ、それを知ったうえで買いたいという人が集まるのがアキバなんですけど、代理店の話だとまだ単品発売はしちゃいけないことになっているらしいんです。やっぱり4月まで待たないといけないでしょうね」と明かしてくれた。
ただ、6コアCPU自体は、単品での取り扱いを始めたショップがすでにある。T-ZONE.PC DIY SHOPが入荷したのは、6コア内蔵のエンタープライズ向けCPU「Xeon X5670」。2.93GHz動作のCPUで、L3キャッシュは12Mバイトとなる。2個セットでの使用(および購入)が前提となるCPUで、1個の価格は14万2590円だった。
LGA1366ソケットを2基備えたX58マザーに載せられるが、BIOSの対応も確認が必要となる。同店によると「ASUSTeKの『Z8NA-D6』『Z8NA-D12』のBIOSが対応しています」。こちらも話題を呼んでいるが、取材した3月19日時点では買い手がついていないとのことだった。「さすがに高価なのと、使える環境が限られているのが大きいですね。でも、12コア24スレッドで動作するので、究極を目指すなら面白いCPUだと思います」。
にわかに6コアCPUが盛り上がった電気街だが、某ショップは今後の進化に期待を寄せる。「今はまだ幕開けの幕開けというレベルです。今後、Core i7-980Xの単品発売が始まって、便利に使える環境がそろいだしたら、ようやく普通の幕開けでしょう。まだ全然入荷予定が立っていませんが、AMDからも6コアのPhenom II X6が年内に登場するようですし、1年くらいかけて盛り上がってほしいと思っています」と期待を寄せていた。
●「日立の1TバイトとウェデジのSATA 3.0がヤバイっす」――HDDの売れ筋チェック
メモリの価格が上昇するなか、同じく価格変動の激しいHDDは緩やかに安くなっている。現在は1Tバイトなら6000円台、1.5Tバイトなら8000円台、2Tバイトでも1万2000円以下から買える。また、SATA3.0対応の高速タイプも供給量が安定して増えており、容量面でも速度面でもストレージを強化しやすい状況だ。そのなかで、売れ筋のHDDを各ショップに聞いた。
各ショップで票はバラけており、特定のモデルや容量に集中した売れ方にはなっていない様子だった。その中でも全体としては、やはり1Tバイトと1.5Tバイトモデルの候補が目立っている。最も票が多かったのは、日立GSTの1TバイトHDD「Deskstar 7K1000.C HDS721010CLA332」。T-ZONE.PC DIY SHOPは「1TバイトHDDにも回転数が5400rpmや7200rpmのもの、変動タイプなどがあります。やはり高速な7200rpmを求める人が多いですが、なかでもHDS721010CLA332は7000円前後で、かなりお買い得です。複数台購入する人も多いですが、たっぷり在庫していますよ」と語る。
一方、1.5Tバイトでは1万円前後のモデルが多い中、複数のショップで8500円前後の値が付けられているウェスタンデジタルの「WD Caviar Green WD15EARS」が強かった。クレバリー1号店曰く「容量単価でみると1Tバイトモデルより安くなりますから。『特に使い道は決まっていないけど、とりあえずHDDは1万円で』という人の定番ですかね。ただ、このモデルは5400rpmです。7200rpmにこだわる人には、シーゲイトの『Barracuda 7200.11 ST31500341AS』が売れています。高速タイプでも1万円強で買えますし」と話していた。
また、SATA 3.0に対応したモデルもすでに定番の1つに数えられている。ショップによって売れ行きの差は激しいが、フェイス秋葉原本店では、1万円強で買えるウェスタンデジタルの1Tバイトモデル「WD Caviar Black WD1002FAEX」が、HDDでトップクラスの人気モデルになっているそうだ。「SATA 3.0が使える環境はこれから整ってくると思いますが、対応マザーを持っている人が増えているのか、意外なほど順調に売れています。やっぱり、『せっかく新しく買うなら速いやつ』と考える人が多いですし、価格もそんなに高くないですし。最近は供給量が安定しているので、同じ型番の同じロットでRAIDを構築したいという人でも安心して手が出せると思います」(同店)。
●「強めのmini-ITXマザーがフル活用できます」――拡張性バリ高のmini-ITXケースが登場
先週、複数のショップにLIAN-LIのmini-ITXケース「PC-Q08」が入荷し、注目を集めていた。価格は1万6000円前後で、在庫は潤沢だ。
PC-Q08は227(幅)×345(奥行き)×272(高さ)ミリと、mini-ITXケースとしては大ぶりなモデル。内部スペースが広く、一般的なATX電源が装着できるほか、5インチベイと2.5インチベイを1基ずつと3.5インチベイを6基備えている。背面には拡張ブラケットが2段用意されており、このクラスでは最高クラスの拡張性を備えているのが特徴だ。また、側面の通気口とフロントの14センチファン、上面の12センチファンなどにより、効率的な空調ができるのも魅力となっている。
パソコンハウス東映は「大量のHDDでRAIDを構築したり、ブラケット2段を占有するグラフィックスカードを挿したりできる相当面白いケースですね。電源が非搭載なのも、構成にあわせて電源が選べるのという意味で親切だとすら思えます。mini-ITXマザーにはLGA1156やSocket AM3対応の高性能タイプもたくさんあります。ただ、それらの拡張性や性能を存分に生かせるケースというのは、意外と少ないんですよ。PC-Q08なら、マザー上のすべての拡張スロットを使った構成にも対応するでしょう」と絶賛していた。
なお、PC-Q08のフロントにある2基のUSBポートはUSB 3.0に対応している。ただし、マザーの基板にある内部用のUSB端子とは接続できず、背面の外付け用コネクタを前に引き回して使うことを想定しているので、USB出力端子数の少ないマザーでの利用には注意が必要だ。
●ツートップ秋葉原本店がリニューアル&そのほかの板モノ新製品
3月19日、ツートップ秋葉原本店が4年ぶりに全面改装を実施した。リニューアルを記念して連休中にアースソフト「PT2」の抽選販売や合計100製品の日替わり特価品などを用意し、多くのユーザーを集めていた。同店は「リニューアルして、売り場面積をより広くしました。今までよりもじっくり製品を見ていただけるようになったと思います。代わりに倉庫側が狭くなりましたが、全然平気です」と元気に話していた。
そのほか、先週登場した新製品のうち、注目度の高かった板モノ系3アイテムを紹介したい。
MSIから登場したのは、AMD 890GXマザーとしては初となるmicro ATXサイズの「890GXM-G65」。PCI Express x16スロットを2基備えるほか、SATA 3.0とUSB 3.0に対応する。価格は1万7000円前後だ。入荷したパソコンショップ・アークは「オンボードグラフィックスが強いマザーは、グラフィックスカードなどを装着せずにシンプルな構成で使いたいという人に根強い人気があります。高機能チップセットとはいえAMD 890GXもそういったニーズがあるはずなので、micro ATXタイプもヒットしそうです」と語る。
同じくMSIからグラフィックスカードも登場している。大型の独自クーラーを備えたRadeon HD 5830カード「R5830 Twin Frozr II」で、実売価格は2万6000円弱から2万7000円の間。在庫はやや少数だ。TSUKUMO eX.は「最近はGPUがある程度出そろって、各社がオリジナルクーラーを乗せたり独自チューニングを施したりしたカードが登場していますね。Radeon HD 5830という微妙な位置付けのモデルではありますが、標準仕様のカードと価格差がほとんどないので、ひきはありそうです」と読む。
オリジナルクーラー搭載カードとしては、ASUSTeKのRadeon HD 5670カード「EAH5670/DI/512MD5」も目立っていた。ブラケット2段分を占有する大型クーラーを採用しており、T-ZONE.PC DIY SHOPは「標準タイプより3割増しでよく冷えて、25%長持ちするようです。Radeon HD 5000ファミリーはアイドル時の消費電力は低いんですけど、ピーク時はけっこうあります。使い方によっては発熱しやすくもあるので要チェックです」とアドバイスする。価格は1万1000円前後だ。
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